2021年5月30日(日)礼拝式次第と説教 「元気になりなさい」

2021年5月30日

日曜日の10時半からインスタグラムでのライブ配信(生中継)をしています。
日曜日の午後からYouTube(ユーチューブ)で礼拝の録画映像が見られます。当面、ライブ配信と録画の掲載を継続いたします。それぞれ、見る方法が違いますので、お知らせ、礼拝欄の「礼拝の映像を見る方法」を参考にしてご覧ください。

礼拝 2021 年 5月 30日(日)
司式 伝道師 佐藤 倫子
奏楽 内田 直美

前 奏
招 詞    ヨハネによる福音書16章33節
讃 美 歌   24 〝たたえよ、主の民〟
交読詩編     詩編103編1-13節
祈 祷
讃 美 歌   56-3節 〝主よ、いのちのパンをさき〟
聖 書    マタイによる福音書9章18-22節(新約16頁)
説 教    『元気になりなさい』  牧師 渡辺 正男
讃 美 歌   463-2節 〝わが行くみち〟
信仰告白    〝使徒信条〟
献 金
主の祈り
派遣の賛美  90-1節〝主よ、来たり、祝したまえ〟
祝 福

 

 

説教 2021年5月30日(日)
「元気になりなさい」   牧師 渡辺 正男
マタイによる福音書9章18-22節

 

この懐かしい会堂で、皆さまと礼拝を共にできることを、とても嬉しく、感謝をしています。
今朝与えられている聖書は、マタイによる福音書の9章です。その22節に、「娘よ、元気になりなさい」とあります。主イエスのお言葉です。この「元気になりなさい」を「勇気を出しなさい」と訳している聖書もあります。「元気になりなさい、勇気を出しなさい」。今朝は、この主イエスの語りかけを聞きたい、と思うのです。

コロナ禍で、世界中が大変な時を過ごしています。わたしたちも、心重く、気がめいります。今朝、主イエスの温かい語り掛けを受けて、少しでも元気をいただきたい、勇気をいただきたい、そう願っています。

 

後ろから手を伸べる

さて、この時、主イエスの一行は、「娘を助けてください」という父親の頼みに応えて、彼の家に小走りに急いでいます。
その途上で、一人の女性が、群衆に紛れて、主イエスに近づきました。彼女は、後ろからそっと手を伸べて、「助けてください」という思いを込めて、主イエスの衣に触れたのです。20節に、「後ろからイエスの服の房に触れた」と記されています。
この女性はどういう人なのでしょう。詳しいことは分かりませんが、20節に、「12年間もわずらっている」とあります。長年の病で、彼女は、病気の苦しみや経済的な困難に加えて、社会的にも差別を受けてきたのだと思います。
彼女にも、主イエスのうわさが聞こえてきました。彼女は思い切って立ち上がりました。そして、人ごみにまぎれて、後ろから主イエスに近づき、「助けてください」と、そっと手を伸べたのです。
この「後ろから手を伸べる」という姿は心に残ります。それは、人に気づかれないように、手を伸べる姿であります。「主よ、支えてください、助けてください」と祈りながら、そっと手を差し出したのですね。
わたしは、歳を重ねて、これまでの歩みを思い返すことが多い。楽しかったこと、うれしかったことよりも、失敗をしたこと、人を傷つけてしまったこと、そういう愚かな自分を思い起こすのです。
わたしは、胸を張るようにして、堂々と正面から主イエスの前に出ることはできません。後ろから、そっと手を差し伸べる思いで、祈りをささげる。支えてください、と小さな声で祈りをささげるのです。わたしたちだれにも、そういう一面があるのではないでしょうか。

 

主は彼女を見て

さて、22節の所に、「イエスは振り向いて、彼女を見ながら」とあります。
主イエスは、後ろから服に触れた女性のことを分かっておられたのだと思います。群衆に紛れて、他人に気付かれないように、そっと手を伸べた彼女を、主イエスは分かっておられた。「イエスは振り向いて、彼女を見た」と記されている通りであります。主イエスは、彼女の必死の願いと求めを分かっておられた。
弟子たちには、群衆が一団として目に映っています。その女性のことは何も見えていません。「先生、何をしているのですか。先を急ぎましょう。立ち止まっている時ではありません」と弟子たちは、いらいらしています。
人々には見えていない。弟子たちにも見えていない。その、だれも気付かない女性の差し出す手を、主イエスは分かっておられた。深い悲しみの中から伸べている手を、その願いと祈りを、主イエスだけは見ておられた。分かっておられた。そして、彼女の願いを温かく受け止められたのです。
主イエス・キリストは、そういう方ですね。わたしたち一人一人がそっと伸べる手をも、主は見分けておられるのではないか。礼拝において、そっとささげる小さな祈りをも、主は聞き分けてくださり、そして受け入れてくださるのではないか。

 

元気を出しなさい

さて、主イエスは振り向いて、彼女にこう言われました。「娘よ、元気になりなさい」と。22節であります。
この「元気になりなさい」という主イエスのお言葉は、いろいろに訳されます。「安心しなさい」と訳している聖書もあります。聖書の字を調べてみると、「はばかることはない」という意味もあります。
主イエスは、臆するようにして生きてきた女性に、「娘よ、安心しなさい。はばかることはありません。元気を出しなさい。勇気を出しなさい」と言われて、彼女をお癒やしになりました。
「元気になりなさい」。この主イエスの御言葉を、わたしたちも聴こうではありませんか。「はばかることはありません。勇気を出しなさい」。今日は、この主イエス・キリストのお言葉を胸に刻んで、家路につきたいのであります。

勇気こそ地の塩なれや梅真白(中村草田男)

 

 

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